「八月の六日間」を読んで

昨日、最近本を読んでいることを書きましたが、
読んでいたのはこの北村薫の「八月の六日間」でした。
今日はこれを読んで考えたことを。
書評と言えるほど大したものではありません。
読書感想文だと思って読んでいただければ。

きっと彼女達はこの本を読み終えることができない。
なぜなら、この本を読みはじめたらすぐに山行きの準備を始めてしまうから。

読み始めてすぐ、そんな思いが頭をよぎりました。
しばらく積ん読にしてたのでどんな話かも知らずに読み始めたのですが、
すぐに友人の山ガール達の顔が思い浮かんだのです。
そう、これは山登りをする女性の話。

主人公の女性は雑誌の編集者で作品の中で38歳から41歳までの3年を生き、
その中の5回の登山について描かれます。
その3年で副編集長から編集長へも昇進します。

ボクは今39歳。
彼女とほぼ同じぐらいの歳なわけですが、
同年代は編集長になっている人もいるのか、と妙なところに関心が行きました。
ボクもゲストハウスの店長にはなれたけど、他のスタッフが一人いるかいないかくらいだったので、一緒にしていいものかどうか(笑)
あと数ヶ月で自分の宿が持てて宿主になれそうなので、これもまた人生かな。

読み終えて思ったのは、
山に登る人も登らない人も読んでほしいということ。
なぜかって、と自分の言葉で語ろうと思っていたら、
解説で瀧井朝世さんがそのものズバリと言っていた。

この本自体が、日常から離れて山を無心で歩いているかのような、貴重な時間を与えてくれるだろう。この小説には、心身の浄化作用がある。

北村薫「八月の六日間」解説より

まさにボクが昨日言っていたまんまでしょ。
でも、これはきっとこの本だけではないはず。
その世界に引き込んでくれる本は全て非日常の世界へと誘ってくれて
読者の心を癒してくれる。

また、解説の中でインタビューを受けた時の北村薫のコメントに唸りました。

「“八月の六日間”というのは、一年三百六十五日のなかの特別な六日間という意味です。この六日間が、残りの三百五十九日を支えるわけですよね。決して山に行くわけでなくても、我々はこういう、特別な時間を持つことで支えられているんだと思います」

北村薫「八月の六日間」解説より

なるほど。確かに。
ここ最近、毎日30分の読書がボクの毎日を支えてくれています。

そしてまた、ゲストハウスで働いていた時に出会った旅人たちにも思いを馳せました。
そうか、彼らの一年を支えているのは折々で旅をすることなんだ、と。

宿で働いていながら、なぜ彼らがほぼ毎週末や長期休暇が取れるごとに旅に出るのか、不思議に思っていました。
そんなに旅してたら休む暇がないじゃないか、と。
しかし、この北村薫の言葉で腑に落ちました。

旅に出るという特別な時間を持つことで彼らの毎日が支えられているのだと。

ボクが作る「泊まれるたまり場」が日常になるのか非日常になるのかわかりませんが、そこで過ごす時間がみんなの毎日の支えになれたらいいな、と思ったのでした。

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